有馬川橋 その6

 昨日は有馬川橋落橋事故の3回目の技術検討委員会の開催日で、「新名神橋桁事故中間報告 原因は「不等沈下」 (神戸新聞 6/19)」にあるように、中間報告がなされたようである。
 もうここなあたりまでくると専門家でない限り何のことやら分からない領域になるのだが、乗りかかってしまった関係上、とりあえず転記などしてみることにする。
 で、原因は落橋して道路を塞いだ西側ではなく東側の方で『橋桁の東側を支える支柱が不均等に沈む「不等沈下」を起こし、橋桁のバランスが崩れたことが主な事故原因』、『橋桁の東側を支える専用設備下の地盤は、宅地造成による盛り土など改良地盤の下に強度が低い層があった。事故前日に2・5センチ、当日午前には4センチ沈下するとともに、西側に18・5センチ傾いていた』とのこと。
 私自身が机上で送り出し工法を習った際には、こなれた工法ではあるが、緻密な現場把握と工事監理が必要であると教わったように思う。
 これは、今回のような降下時の話ではなく、送り出し時の刻々と変化する各構造物の位置関係や応力を詳細に把握し、問題点があれば適切に対処する必要があるということで、その方法などは現場作業のレベルでは多岐にわたっており、それなりの専門性と経験が必要となるということである。
 センサ技術の発達やIT技術の進化によって、高所や施工中の橋梁下での作業を極力減らし、重大事故につながる前にそれらの計測データから推測が可能になるのではないか、と当時考えていたのだが、結局、沈下量を測定していてもGOサインを出してしまえば結果的に事故につながってしまうということだろう。
 実際の送り出し工法の施工指針などを読んだわけではないので何とも言えないのだが、『「もう少し調査すべきだった」と指摘』している関係上、多分直ちに作業を停止させなければならない基準ではなかったということなのだと思われる。
 およそ河川縁で不等沈下が発生した場合、基礎の構造にもよるが、すぐに沈下が収まるとみるべきではなく、ましてや直下の地盤調査を行っていないならなおさらである。
 が、それは、原因を指摘されて始めて言えることで、恒久構造物でない場所のボーリングに費用をかけるのか?工期のプレッシャーからはたして作業を止められたか?今いじるより西側をつりさげて応力分散を図ってから不等沈下が進むようなら対処すれば工期は守れると考えるような手法が全くダメな選択だったのか?(結果論としてはダメだったのだが)を考えれば、結果から遡って適切だとされる手段を講じることができたのかというと難しかったのかもしれない。
 そんなことでは、亡くなられた方や負傷された方に申し開きもできないのではあるが。
 もはや話を混ぜっ返してしまうことになるのだが、工期が若干延びても工事の難易度から考えれば最悪西側を余分に切土してでもセンターホールジャッキを用いた降下設備を用いずにサンドルとジャッキ(桁の下にジャッキを置く方法)で降下させたほうがよかったのではないかという気さえしてくるが、これも事故が起こった後だから言える話である。
 実際どうすればよかったのか、という具体的な話は、今後最終報告が出て、「橋梁と基礎」あたりに掲載されるような気もする。
 というわけで、あまり締まらない形で終わる。