キーウィフルーツ

 昨日のWBSでキーウィフルーツが取り上げられていたので、久しぶりに買ってみた。
 何が久しぶりなのかというと、ニュージーランド産のそれ、というのが久しぶりなわけである。

 私のガキのころの片田舎においては、キーウィフルーツはまだあまりなじみのある果物ではなかった。
 それでも地場の設立当初から輸入物の青果類を積極的に扱ってきたスーパーでは、それなりに取り扱うことが可能な販路が確保されているらしく、陳列されていた。
 このころは、まだ国内での生産も一般的ではなかった(というか、多分、流通に乗るほどではないと思われる。)ようで、すべてニュージーランド産であった。
 全くの事前知識なしで、あの緑褐色で手に取るとごわごわの短い毛が全面に生えている物体をいくらなんでもおいしいものであると認知できるものではなく、最初に食べたのも痛んでクズ値で売られているときに興味本位で買ったのが始まりである。
 で、当時、その見栄えに反して結構うまいということで、買うようになったのだが、今ほど大量に輸入されていたわけではない時代だけあって、経由箇所や開梱混載などの頻度が多かったためか、結構痛んでいるのも多く、よさそうなのを選んだりしていた。
その後、次第に国内産のものが出回るようになり、その値段などの意味から季節果物として認識するようになってしまった経緯がある。
 最近、キーウィフルーツのCMや店頭で販売される果物に貼付けているシールに「ゼスプリ」の文字(赤の乙の字は商品の色からして結構目立つ)を見かけることが多く、流通大手が参入してきたのかなぁ、とか思っていたのだが、ググってみると結構昔からあるらしく、単に気づいてなかっただけっぽい。

 番組内でも取り上げられていたが、キーウィフルーツは基本的に追熟が必要とされる。大昔は船便でそれなりに追熟してしまうなどという時間的な意味では理にかなっているが手法としてはかなり大雑把だったと聞いたことがある(これは調べたが正しいかどうか分からなかった。)のだが、今では追熟設備で行っているようである。
 追熟の果物というと最も有名なのはバナナではなかろうか。
 私は産まれていないので伝聞でしかないが、高度成長期の始まりに高級果物として鳴らしていたのは紛れもなくバナナであり、地産地消、生産地→東京→消費地という形態とは全く違う流通、加工形態で消費者に届くことを考えれば、当時としてはかなりすごいことだったのだと思われる。
 前出のスーパーにも当時県内有数のバナナの追熟施設があり小学校(幼稚園だったか?)のころ見学したことがあるが、当時の私はその設備の説明よりも追熟というプロセスを用いなければ食することが難しい果物が存在することが不思議でしょうがなかったのを覚えている。
 というのも、樹木から実をもいですぐに食べられない果実は身近に存在しなかったからである。
 とはいえ、バナナに追熟が必要なのは多分検疫の関係で持ち込めないせいだと思われ(これも詳しく調べてないので分からないが)、熟さないわけではないらしい。(これも見たことがないので。)
 実際に木成りで完熟したバナナがどんなものか食べてみたい気がするが、多分かないはすまい。
 バナナやキーウィフルーツ以外にも追熟する果物はりんご、もも、ラ・フランスマスクメロンなどが思い浮かぶが、流通に乗っている商品に対して必ずしも行っているかどうかは詳しくは知らない。
 ただ、少なからず「○○狩り」などといったレジャー用に栽培している農家は、もいでその場で食べられるように調整しているらしいので、消費者側が追熟を意識するようなことはないかもしれない。
 ただ、緑熟な段階から追熟させたものと木成りで完熟したものとが同じ味なのかどうかは「○○狩り」のようなものを体験したことがないので分からなくはあるのだが。
 ちなみに、りんごをいっしょに入れて早く食べごろに、的な家庭科で習うような話は、追熟と基本的に同じ機構で、エチレンが作用しているわけだが、果物に限ったことではなく、冷蔵庫にそのまま入れておくと他の葉野菜も早くダメになるし、食品以外でも例えばカーネーションなんかも切花とりんごをいっしょに入れておくと花が咲く前につぼみがしおれ落ちたりすることもあるが、そんなことをする人は数百人に1人もいない気もする。

 で、それはそれとして、今回はいわゆる果肉が緑色の普通のタイプのもの(というか、それと糖度の高い品種しか置いてなかった)を買ったのだが、今度は果肉が黄色いのとか赤いのとか買ってみたいなぁ、とか思ってみた。
 みたのだが、どうせ商品を前にしたらその値段に躊躇して結局買わないんじゃないのか?とか考えてしまった。