トランプ

 ネタが時事的にずれるのは空き時間に何とはなしにメモったり思いついたことをその場で部分的に手書きしたりしたものをつなぎ合わせて書いているせいで、そもそも忘れっぽい(というか意図的に過去に追いやろうとしてしまう)ために夜にまとめて書き始めるなんてことができないということに対応したものでもある。
 そういう意味で断片が結構残ったりしてしまうのだが、それは全く別の話。

 トランプというともう一昨日なわけだが、英語のできない私がぼへーっとトランプ氏の勝利演説を聞いていたときの話である。
 多分選挙期間中にトランプ氏がスローガンとして掲げた「偉大なアメリカ」、英語での表現としては「great」という単語は頻出するだろうなぁと思っていたのと、これとは別に、トランプ氏に対して批判的であった者が口にしていた事項の1つとして挙げられる分断社会というキーワードがあり、英語表記である「divided society」というところから来る「divide」、もしくはその反対語が出るのではないかと想像していた。

 で、当然ながら全く意味も分からず聞いていたわけだが、とりあえず「偉大なアメリカ」っぽいことを「great」という単語で言っているっぽいことはなんとなく感じられた。
 一方、「分断」という部分に関しては、「division」を「bind」するという直接的な表現に加え、もっとも日本語にしにくい単語の1つだと思われる「unite」「unify」というのが別々に出てきて「日本語にどう訳すのか見ものだな、おい」とかゴミカス以下の無能者が粋がってみたりしたわけである。

 ちなみに、各所で演説の全文訳がなされていると思うが、Huffington Post 日本版の記事では、まず、「division」を「bind」する部分は『分断の傷を癒す』と意訳されているように思われる。
 というか「傷」とかを伴って「bind」に治療するとか治癒させるなどというような意味があるのかどうか知らないのだが。
 基本的に英語ができない者にとっては、「divide」というような分かれている状態の逆というと、手をぐるぐる回して「mix」、いくつも重ねるようなしぐさで束ねるという形で「bind」、くっつけるようなしぐさで「conbine」(いにしえの者の連想からすればレッツコンバインである。)ぐらいしか表現を持ち合わせていない。
 もはや、インテグレイトあたりになると「システムをインテグレイトするなんて、きゃー、かっこいい!」ぐらいなイメージしか出てこない。
 訳文の対比に戻って、「unite」は『一致団結した』という訳が該当すると思われる。
 最初、「united people」と言っているように聞こえたので、「United States」(theがつくはずだが、ここでは無視。以下同じ)と同じような構造でアメリカのなんたらみたいな意味があるのかと想像してたりしたが、ググってもそんな意味はない様で勝手な妄想だったようである。
 とはいえ、「unite」に『一致団結する』という意味が辞書的に付与されているわけでもないことからすると、これも意訳されたと捉えてもいいかも知れない。
 「unify」に関しては、もう訳を捻出することに疲れたのか、多分、もっとも重要な単語がちりばめられている箇所の『unify our great country』が『偉大な国にしていきましょう』というなんとなくそれっぽい感じに意訳してしまっている。
 ちなみに、日本経済新聞の記事は訳がかなり堅めになっているため、それぞれ『縫合する』、『一丸となって〜する』、『一丸となって〜する』というニュアンスよりも中心となる意味を表記する方法が取られているように感じる。
 ただ、いずれにせよ、トランプ氏のブレーンがしたためた巧妙に挿入されるキーワードをいちいちちゃんと訳してしまうと、多分、英語母語の者がさらっと聞き流して頭に残るキーワードとして機能せしめるための文章および単語であったとするなら、くどくなるということなのかもしれない。
 とはいえ、感じ取るイメージをそれなりに再現するとして、例えば、すべてが「bind」であるとか「コンソリ」というと聞き覚えがある者もいるかもしれないが、いっしょくたにして1つにまとめる的なイメージの「consolidate」で通したらダメだったのかというわけでもなく、適切な意味として取り扱われるべくしてその単語が配置されているというように考えていいのではないかと思う。

 というわけで、というか、何がというわけなのか分からないが、分からないなりの知識で無理やり紐解いてみたいと思う。
 ただし、その正確性は先述の私の属性から適切に推測してもらうものとする。
 まず、「unite」は中学生(多分もう少しすれば義務教育レベルで小学生)の段階で、アメリカの国名に「unite」が含まれることを習うと思われる。
 とはいえ「United States」というのもしょっぱなから厳しい曲者で、「ステイト(=州)」が「ユナイト」されてんだよ、といわれても実のところピンと来ない。
 それを説明し始めるとアメリカの政府や政治のシステムから入っていかなければならなくなり、それだけで1日が終わってしまうようなレベルである。
 日本人からすると県や市町村のような地方行政区と同じイメージで捉えてしまうと誤解が生じやすいというのは周知の事実であるわけだし、多分、都道府県が「○○○」されて日本が構成されているという例えとして「unite」を用いるのは馴染まないだろう。
 で、単純に訳するだけを考えた場合、英語の原文を見てみると周囲に「together」が配されている関係上、なんとなくそれっぽい形にすれば何となく意味は取れるかなぁという気もしなくもない。
 およそ「United States」という出方をすれば固有名詞としてアメリカ合衆国と訳するわけだが、単独で出た場合は「統一する」ぐらいで訳しておけばいい気がするし、映画とかで煽動するようなシーンだと「団結する」という訳の方が適切っぽい(まぁ、前後に「together」があると訳さなくても意味は通じるレベルなのでどうでもいいといえばどうでもいいと無能な者からすれば思うレベル)気もする。
 あと、かねてから批判されてきた「divide」に対応する単語として「unite」「unify」が用いられた理由が他の単語の持つニュアンスとかがよく分かっていないため、他のどの単語よりも適切なのかどうかもよく分からない。
 単に「United States」であることから聞きざわりのよい単語であるからという理由などではないとは思うのだが。

 一応、「unite」と「unify」は双方が派生語という扱いなのでまぁ同じような意味でいいんと違うかな、程度の教わり方をした(いや、不得意だからこそ、その程度でしか覚えていないだけかも知れないが。)ので、これについても違いはよく分からないところである。
 「unite」は別々のままひとくくりにしすることで「unify」は原形が残っていないレベルで1つになる/してしまうことだという人もいた。
 しかしながら、「unified なんたら strategy」とかいった表現が文中にあったとして、そのもとあった戦略や方策が原形を留めているかどうか、独立性や影響しあう領域はどこか、係わり合いやネットワーク、連携はいかような形態なのかという部分は、それ以降に詳細に解説されることから、別の新しい何かが1つ生み出されるだけなのであれば、一様にその新しい何かのみを解説すればよいことになる。
 先の「unify」が原形を留めていないという考え方は「統一する」といった「天下統一」的な中央集権的システムにはめ込まれるかのごときイメージから派生したのかどうかは分からない。
 ただ、英語母語の者たちが明確に区別して使い分けているっぽいにもかかわらず、思った以上に意味が広く、見方によっては重なり合っていることもあるようにも感じる。
 個人的な感覚としては、「unite」は自然権といった不可譲で不可侵な権利を有する個に対し、ひとまとまりにするにしてもそのまとまりの中で独立性が当然として存在する場合、そういう意味で主に人に対して用い、「unify」は先の独立性が当然として存在するわけではない事物や抽象物、感覚的なもやっとした何かのようなイメージやアイデアなどに対して用いるが、独立性が存在しないというわけでもないという用いられ方をしている気がする。
 が、元に戻ると、「United States」って人じゃねーだろ、というツッコミが入るのは目に見えていたのでこういった話をしたことは未だかつてない。(一応、ここはチラ裏なのでいいかと。)
 今回改めていろいろググってもみたのだが、よく分からないままである。
 ということで、紐解くといいつつ、ほどくことができなかったという話で終わる。
 まぁ、ちゃんとした英英辞書をひけってことなのかもだが。