二回目ともいえるし違うとも

 博多駅前の陥没が復旧して平穏を取り戻したかと思っていたら、今度は7cmほど沈下したらしい。
 共同通信によると『福岡市は26日、JR博多駅前の道路沈下は、8日に起きた大規模陥没を埋め戻したセメント入り処理土の重みで、下部の地層が圧縮されたことが原因との見解を示した。沈下幅は想定の範囲内としている。』とのこと。
 ただ、混乱のもとになる可能性もあったためか、圧密に関する許容沈下量は設定されてはいても公開されていないようで、そういう部分が逆に不信感を煽っている気がしなくはない。
 というか、そもそも沈下をSNS等で再陥没と言ってのける者が多い時点で許容沈下量どころか圧密って何?ハチミツの一種??とか言い出しそうな層にどういった行動の選択を行おうと無理な気もするが。
 とはいえ、そういうのは別にしても、沈下によって支障が考えられる地域関係者(要は今回の陥没で事業補償等を行う必要が出ている関係者)に対してぐらいは、施工業者、関係者の双方が事前に何らかの想定と対応(最悪の場合でいえば、事業継続性の確保といったレベル)が可能であったことからすれば、技術力はあってもインフラとして物理的な部分ではない部分を維持する力が劣っているとみられてもしかたがないかもしれない。

 さて、ニュース等を少しだけ検索した限り復旧後の具体的な管理方法について触れている記事は見つからなかったのだが、7cm沈下した、という情報がどういった動態観測によってもたらされたのかが分からない以上、すごく危険なのかどうか感じようがない。
 およそ、道路の新設工事などでも軟弱地盤上の盛土などにおいて動態観測を行ったりするわけだし、民間の場合などでは趣味、じゃないわ、研究で設計指針とはかけ離れた厳密さで動態観測を長期的に行っていたりもする。
 今回の場合のような特殊改良土を用いた内部構造物のないそれなりの容積のある高速な埋め戻しという施工が世間的に頻繁に行われているのかどうか分からないが、たとえ数式上は設計を表現できたとしても事例としては少ないのではないかと思う。
 不謹慎極まりないが、特殊な事例であるのであれば、結構な密度で自動計測するなり、予算的な問題もあるかもしれないが、今後のことも考えて変位計を埋設するとかしてもいいのではないかとは思う。
 というか、そもそも陥没箇所のかなりの量の土砂が設計想定外に流出してしまった(原因は未だ公表されていないようだが)ことを考えれば、それぐらいはした上での沈下に関する安全確認という形であってほしいとは思う。
 そういう意味で、7cmの沈下が、埋め戻し後に初めて測量したら沈下してたわ、ごめんごめん、なのか、日数回程度の自動計測で突如7cm沈んだというのとでは全く意味が変わってくるということになろうと思う。
 いつものリスクマネジメントから考えれば、起こった事故は事故として受け止めるとして、緊急対応(避難誘導など)、応急対応(埋め戻すこと。対象範囲によっては仮復旧までということで緊急対応の場合もある)、暫定措置、恒久措置という形に進むわけだが、その間には同時並行して原因究明とその対策が織り込まれるし、それぞれの対応、措置が連続的かつ有効に機能するためにそれに付帯した管理(先の例で言えば沈下計測や支障を最小限に留める補修など)が必要となる。
 さらには、公共物でかつ供用中の施設であるがゆえにそれらを利用する者、さらには社会に情報提供するといった事項も含まれるようになってきているように思う。
 工学的にいって問題ない、と断言することが可能であったとしても、同等の工学的知見をすべて関係者が持つわけではなく、さらには、工学的(設計、施工の知見という意味で)に問題がなかったっぽい発言を施工者がしていながらも、事故がおきたことは厳然たる事実であることからするに、改めて同様に「工学的には想定内です」といっても一朝一夕に信頼を得ることはできない部分ではなかろうかと思われる。
 他人頼みというのも何なのだが、前回の陥没の時のように市長がそういった不安を払拭するような書き込みをしてもらえれば、とか思ったりもする。
 ただ、なかなかそういう個別のさらに細かい案件にまで市長が直接頭を突っ込みにくいという現状(詳しくは書かないがそれなりの棲み分け)はあるかも知れないが、なんだろう、どうせ市議会とかで色々各議員から直接的にお叱りを受けることを考えれば、社会的認知度の高い案件だとして定期的に頭を突っ込んでもいいのかも知れないが、、、どうなんかなぁ、、、。