昨日のWBS

 書きかけで1年程度放置しているのが実はまだ残っていて、その中の1つが三菱自動車の問題についての「その2」だったりする。
 その方向とは全く違っているのだが、少し目からウロコが落ちたものの、実はコンタクトレンズも一緒に落ちちゃったんじゃないか、とか思えなくもない話が出ていた、もしくはそう邪推できる話が出ていたので書いてみる。

 番組内で社内改革の進捗説明会の様子が出ていたが、全体を通してどのような話がなされたのか分からないため、何ともいえないとして、山下副社長が「対策を具体化している」とはいうものの、それを「具体的」に語ったのかどうかが全く分からない。
 少なからず、体制が日産と違うことと、相変わらず社長が出てこないことからすると、番組内で説明があった役職という意味での組織系統図の変更が適切に機能するべく具体化されているとは言いづらい。(それだけ社の代表が重視していないという対外的な意思表示なので。)
 同様に事例として挙げられていた走行抵抗データの処理を自動化するソフトウェアが開発されたところで、効率化に寄与することはあっても、改竄に関していえば、ハードルは上がれどもその意志があればハックしないとも限らない。
 また、日産のそれと問題の構造が全く異なるために、内外に問題解決に向けて戦略的に方針、具体的計画をディスクローズする(財務諸表を開示するといった用い方ではなくもう少し広い意味、対象で、明確化した対象を選択的に積極性を持って相手に隠されていたものが露出することを意識付けることも含む)手法ではなく、「3年をメドに商品として結果を出したい」とするように別の手法が用いられているかのように見える。
 はたしてそれだけの内容で社内改革の「進捗」説明会といえるのかというといくらなんでもそれはないという気はするので、記者向けに説明はあっても、それなりに報道規制があるとか何かあるのかもしれないが、いずれにしろ、この報道だけを見る限り、多くの部分でクローズされていることがディスクローズされたと受け止められてもしかたがない番組構成になっていたようには思う。
 で、それはそれとして、大浜キャスターがより高い技術力を持ち続け結果を出し続けることが不正を生まない、とも取れるようなコメントをしていて、それもありといえばありだな、と感心した。
 とはいえ、こういった考え方というのは、高度成長期におけるリソースや技術力、はては社会構造そのものまでもが螺旋的に常に向上していく状態において考えられていた手法(?)だったりするわけで、はたしてそれが今の社会情勢から適用可能かどうかは未知数かもしれない。
 また、確かに動機のない不正というものは、どの企業もマネジメントに力を入れている関係上、一般的にかなり少ない傾向にあると思われるが、例えば潤沢に開発資金が与えられ、開発期間も余裕があり、技術力も課題に対してオーバーキルレベルで、携わる個人、企業にはあらゆる手段を用いて報いているならば、その動機はかなり限定されるため、リスク管理も簡易化されるようには思う。
 ただ、皮肉にも、というか、その皮肉を生む状態が最適化されたものとして機能せしめる経済構造を憂う、というか歯切れがアレだが、とある製品に関する技術を持たない(一部が他より劣ることも含む)者が商品として世に出し、技術力を持つ(同上)者が製品をその者から購入することが是となる大きな力が働いている中での改革というものは、なかなか簡単なものではない気はする。