カジキマ(という)グロネタ

 某所で「カジキマグロは存在するのか?」という話になっていたのだが、元ネタはリンクはしないが、某女性週刊誌と男性週刊誌が合体したようWeb版の情報サイトでのネタのようである。(ネタの掲載誌は女性週刊誌側らしい)
 で、その記事では、カジキマグロは存在しない、というところからいきなり切り込んでいて、いろんな意味で潔い。(まぁ、半分料理レシピ記事なのだが)
 ただ、系統学、分類学上『カジキマグロという魚は存在しない。』としてしまうと、厳密にはカジキという種もマグロという種も存在してないといえば存在していない。
 系統学、分類学上の話をしておきながら、比較する条件が違うのも詰めが甘いといったところだろうか。
 そもそも論として、カジキマグロと称されて店頭に並べられている商品は基本的にカジキであるというのは、それをそれなりの頻度で購入し食する場合、知っていそうな気がするのだが、実際どうなのだろう。
 たとえそれを知らなくても、食することにおいては、カジキマグロがカジキだろうとマグロだろうと味自体結構似ている上に、調理法もあまり変わらないことからすると、スイセンとニラを間違えるレベルの危険度がある問題ではなく、実用上支障があるわけでもなければ、知ったところで何らかの行為や工程などに変更が生じるわけでもないと考えてもいいかもしれない。
 また、カジキとマグロが系統上かなり離れているという知識単体では、一般生活においてそれ以上発展のない行き止まりの薀蓄に過ぎない。
 どちらかといえば、なぜカジキが系統上マグロとかなり離れているにもかかわらず、カジキマグロというのか?ということの方が購入時に有用な情報かもしれない。
 ググってみたところ、諸説紛々であるようだが、私がガキのころに鮮魚売り場のおっちゃんに聞いた話では、味がマグロに似てるのとカジキなんて馴染みのない名前の魚なんて誰も買わないから、とのことだった。
 要するに系統学、分類学上では完全な遠縁であっても、ぱっと見や機能(ここでは味や調理方法)に共通性、類似性があることを示すために商品流通上、便宜的に用いられる名が一般化したということかもしれない。
 結局、先の存在する、しないの論点としては、系統学、分類学上の条件(目なのか科なのか属なのか種なのかなど)を正しく設定し、場合分けをした上で解答する必要がある内容なのか、それとも言語学的(成立経緯や言語を行使して伝達可能かどうかなど)に存在してもいいものなのか、分野を限った領域などで機能を満たせばよいという基準(今回の例だとカジキを売りたい側の意志や購入者のメリットデメリットなどを勘案したもの)に照らし合わせて存在し得るものかどうか、ということになるのではないかと思う。
 こういう話に持っていこうと思っていたので、リンクを張らなかった。
 当該記事には、そんな話は毛ほども触れられていない。(そもそも目的が違う。)

 ちなみに、その記事のなかで気になったことがある。
 『店頭に出回っているのはおもにメカジキ科のメカジキ。夏が旬で、その身は加熱調理に適している』と書かれているのだが、私がガキのころは、旬は冬だと教えられたように思う。
 というか、昔は今ほど市井の末節まで高度な冷凍技術が浸透しているわけでもなく、また田舎であるという需要の関係からあまり冷凍モノが出回ることがなかったというのもあって、寒い時期にちょろっと出回って終了、という感じだったように思うのだが、最近は漁期とかが変わったのだろうか。
 実際、ググってみてもよく分からないんだが、どうなんだろう。
 次に、『ふっくらと透きとおるような薄ピンク色で、必ず生ものを選ぶといい。』とある。
 最近はメカジキにおいては冷凍モノが普通に出回っているので、いつでも手に入る感はある。
 が、貧乏人だから気付かないだけかも知れないが、逆に生を見ることが減ったように思う。
 生のカジキで新鮮なものは記事のとおり『透きとおるような薄ピンク色』をしている。(はずだ。特定のグルメ層からすれば間違っているかもしれない。)
 お金に余裕のある方は試してもらってもいいのだが、その生のカジキを家庭用冷凍冷蔵庫でへたくそに冷凍し、解凍すると、透明感が損なわれ、白っぽくなる。
 最近は、冷凍、解凍技術が非常に高度化し、生なのか冷凍なのか分からない(多分、一番劣化が進むのは陳列後かもしれないとかいうレベル)ようになったため、判別しにくくなってきてはいる。
 しかしながら、先述のとおり記事には『その身は加熱調理に適している』と説明されていて、『必ず生もの』である理由は生食するためやないんかい!とつっこみを入れてしまったりした。
 まぁ、単に私の貧乏舌では、加熱調理した時点で冷凍だろうと解凍だろうと生だろうと分かりっこないのでどうでもいいという話である。


 あと、よくよく考えてみると、サメとかウロコがないのでユダヤ教を信仰している人は食べてはならないんだが、メカジキもウロコないんだよな・・・。
 そんなピンポイントの食材を選んで食べることがあるのかどうかという問題もあるかとは思うが。
 ただ、メカジキなのにカジキ「マグロ」って書いてあったじゃん!(ぷんすか)という状況を生まないためにもその違いを理解する程度の知識が必要かも知れないが、これも一体どれだけの人が遭遇する可能性として考慮しなければならないのか、謎である。