妄想

 「多摩川河川敷を通った人にやけどの症状 国土交通省がけがの発生原因を発表 (4/20 ねとらぼ)」とのことで、被害に遭われた方々におきましては、心よりお見舞い申し上げます。
 で、国交省京浜河川事務所のプレスリリースを見ても詳しいことはさっぱりだったりするあたりが、土木行政への根強い不信感につながっている、と極端に大雑把なつなげ方をして書くと叩かれそうなのだが。
 逆側の立場に立つとすれば、民間事業者の不祥事に対する対応が桁外れに高度になってしまった関係上、国の機関としてのカネを含めたリソースの使い方、およびその決裁プロセス等からそれに追いつかないもしくは対応不能だと言えなくもない。
 そんなこんなで、先のプレスリリースで原因と言いつつ根本的な原因に言及されていないので、とりあえず勝手に想像で補ってしまおうと思う。
 なので、事実は一切含まれていない、ということを先に断っておく。

 さて、まず、大雑把なリリースであるため、難解だからどうのというよりわけがわからないので大雑把な転記としてマスコミ界隈のニュースとなっているためか、「道路でやけど」という、炎の石像でも立ってんのか、とか思う人がいるというバカ話が聞けるレベルのひどさな気はする。
 いろんな書き込みとかを見ていて思うのは、「アスファルト舗装でなんで水溜りができるんだ」とか「強アルカリが発生するような材料を直接人体が触れる可能性も高い遊歩道で使うなよ」「どうやって原因究明したんや、他のところは大丈夫なんか」とかあるのを見ると、問題意識に対してそれを様々な知見を持つ者が説明するよりどころとなる材料を提供していないため、第三者のネットワーク内でそれが自助的に解決できないこと、また解決できないことが昨今の不祥事などで多く見られる情報の小出し後出しと不信感の増長という結果を伴いかねないパターンをいっている気はする。
 で、とりあえず、勝手に想像していくわけだが、まず、『舗装工事で使用する材料を取り違えたため、舗装に含まれる石灰』となっているところからするに、単純な真砂土舗装ではなく、混合材料っぽい。
 またgoogle mapや写真などを見ると色からして茶色っぽいので、アスファルト系やカラーゴムチップ系でもなさそうではある。
 そういう意味で、最近のガーデン用品でも普通に売られていて雑草対策にもなる固まる土、みたいなものと同様な改良土で、その固化材として用いているのが石灰だということになるのだろうと思われる。(とはいえ、固まる土はセメント系が主流だと思うが)
 あと、その配合なんかは、メーカーやらなにやらでいろいろ独自で決めているはずなので、『取り違えた』のがはたして配合の問題だけなのかどうかも怪しいが、少なからず間違ったのだろう。
 数量違いや別の固化材や混和材をぶっこんじゃったという問題として考えるならば、現場での材料試験をやっているならそれで分からなかったのか、とか業者の在庫チェックが行われていれば問題の発覚が早くなり被害を最小限に押さえられたのではないか(例えば、食品の異物混入などで部品の脱落、破損を一定の間隔でチェックをして問題が継続している期間を短縮するというのと同じ効果がある)とかが考えられなくはない。
 また、誰の責任になるか明白なのでそうはならないとは思うが、配合計算書に基づいて舗装材を作成し舗装していたのだが、そもそもその配合計算書が間違っていて、さらには誰もそれに気付かなかったなんてのも考えられなくはない。
 あと、水溜りは道路の規格からいってある意味しょうがないかと。
 ただし、水溜りができていいわけではないのでそこはまぁ、いろいろとってところかと。
 次に、アルカリ性という話だが、舗装直後とかならそれはそれで材の特性上や雑草対策も兼ねていたと思われるためしかたがないところかもしれない。
 石灰といえば、私がガキのころは、運動場の白線用には当然のように石灰が使われていて、さらに当然のようにそれで遊んでいた部類である。
 白線引きの中に手を突っ込んだり、粉雪をかけ合うがごとく石灰をかけ合って先生に叱られたりした(いいわけだが私はとばっちり)ものだが、そこでやけど様の症状(見た感じひどい虫さされのようだった)を呈する者はごく限られていた気はする。
 それが個人差なのか化学的な理由があるのかはよく分からない(多分あるんだろう)が、私はなんともなかった部類ではあった。
 そういった意味で、もはや石灰粉の上をジョギングしているのと同等な状態だったというわけではなかろうと思われるところからすれば、個人差があって通行人すべてに症状が現れるわけでもなかったこと、石灰を用いる改良土舗装が施工法として一般的であるという先入観から解にたどり着きにくいかも知れないが、およそやけど様の症状が酸もしくはアルカリによるものというのは医者には分かると思われるため、そこから簡単にはつながりそうだし、その周辺のphを調べることなどホームセンターに売っている程度のもので検証できることからすれば、本調査(多分、舗装土を採取して専門的に試験する等)まで時間はかからなかったとは思われるが、なんか長かった気がするのは気のせいだろう。
 もしくは、技術者の変な知識のかたよりから、改良土の石灰はもはや石灰ではない的な発想(その強度発現にかかる中長期的な化学反応はめんどいのでパス。というか正直忘れた)から結びつかなかった可能性もなくはないが、プロなのでそれぐらいは・・・とか思ったりもする。
 で、普通に作っていれば問題があるわけではなくても、こういったリスクがあるということから、それを回避するとしてどうするのかというところで、中性の固化材を用いるという方法もなくはない。(酸化マグネシウム系とか焼石膏系とかが有名かと)
 ただ、結構高めなのと強度が出にくいことがネックになっている(いた、かな、相当昔の知識だし)と思われる。
 結局、世がアスファルトばかりで覆われていくのは理由があって、環境云々とか持続的云々とかいう性能よりも施工性とメンテナンス性がそれらを度外視できるほどであることにあるかと思う。
 環境云々というのがカネがかからない、もしくはかえってコスト削減に寄与する現場であれば問題はないのかも知れないが、今回のような場面では、ある程度はカネで買わなければ手に入らない機能であるのが実情であって、それをケチれば機能が維持できなるという事例かもしれない。
 ちなみにどこかの事務所なんかは、環境云々がどうのと言われようと自ら指定した区間以外はかたくなにアスファルトで通そうとしている(風に見える、と注釈してみたり)ところもあったりで、いろいろかなぁ、という気はする。
 その差が生まれる理由は様々だとは思うが、感覚的には、維持管理が自前(要は事務所の職員が自ら応急処置を行って、多くはそれが恒久処置化してしまう)でカネがないのか、それなりに予算がついていて業者に行かせればいいのかの違いによる意識の差もその1つかという気はする。
 今回の事案が後者であるならば、リスクに対する認知の差として表れた現象、と見ることができるかもしれない。
 では、それ以外のシステム的な背景とか。
 一体いつ施工したのかもプレスリリースに明記されていないため、いわゆる食品回収なで該当期間の明記という部分がごっそり抜け落ちているあたり、危機意識が薄いというよりかは、Fラン卒に言われたくないとは思うが勉強が足りないとしか言いようがなかったりするが、それはそれとして、およそその施工業者に矛先が向きそうなところをカムフラージュするために、という点を考慮しているのではなかろうか、という勘ぐり方も可能かとは思う。
 路面補修などの維持管理業務なんてのは、単体の金額が小さいため、その多くはぶっこみで年度単位で一括発注していたりとか、場合によっては、中間組織(なんたら協会とか)が随意契約してそこから地元の中小業者に分配してたりするケースも多い。(後者は今では契約可視化の関係からほぼないかもだが)
 とはいえ、いまでは外部の者でもPPI電子入札システムから絞り込むことは可能なわけだし(昔は建通新聞を2年ぐらいさかのぼって探すとかしかなかったのではないかと思う。んー、数十年前の話けどどね。とはいえ、どちらも契約案件自体Webベースのシステム上からBANできたりするうわやめろなにをするあqwせdfrtgyふじこlp)、地元の者からすれば、工事表示板に業者名は書いてるわけで、遅かれ早かれ分かるようになっている、というかそういう部分でモラルハザードの歯止めがかかるシステムになっていたりするのが残念ながら有効に機能してしまうと思えるあたりが泣けるところかもしれない。
 あと、東京都のくだんの件でもほんの少し問題になっていた気がする競争入札でありながら1社入札であるために、実態として随意契約に近い動きをしてしまうところから発生するモラルハザードも考えられなくはない。
 実際、国交省でも一般競争入札での1社応募、1社応札なんてのはざらで、それを改善しようとがんばっているのだが、開き直ったあかおにあおおにのごとく「オールウェルカムやでー(嘘)、と門を開けてても誰も来ないんだから、もうそれでいいじゃん」という考え方がはびこっているためか遅々として進んでいないようではある。
 また、そういった状況が改善しない理由としては、市場原理として供給側と需給側(ここでいえば、工事業者と国交省工事事務所等の案件発注者)の間におけるミスマッチが存在し、本来であれば取引が成立しないはずのところを、その案件の性質上、無理やり成立させているといった捻じ曲がった構造があるともいわれる。
 こういったケースでは、工事業者が大企業でとあるジャンルの案件を守りたくてしょうがない場合は、見てくれだけを良くするような不正、改竄等を行う温床となりうるが、中小企業で半ば強制的に安値受注をせざるを得ない場合は、誠実に業務を遂行するモチベーションが保てなくなるといったいわゆるやっつけ仕事になることで、結果ミスを誘発することも多く見られる。
 とはいえ、当然ながらカネを多く与えればいいというわけでもないのも確かで、納税者、発注者、受注工事業者、利用者という各立場で利益相反がそこかしこで起きている状況を整理して適切に再分配するのはなかなか骨の折れることだとは思う。
 ただ、いずれにせよどこかここかで無理があった、という見方をしてもいい気はする。



 好き勝手なことを書いたので、後ろから刺されたらいやだなぁ。
 まぁ、この程度のことなら知ってる人は嫌というほどいるとは思うけど。