「りんな」と「Tay」

 大もとのソースがどれなのか分からないが、MSの会話学習型人工知能である「Tay」が公開して1日で公開を停止したそうである。
 これはアメリカMSの話なので、私たちはというと、MSの会話学習型人工知能というと「りんな」を思い起こす気がするだが、「りんな」と「Tay」が同じ思想で作られているのかとか「りんな」と「Tay」が具体的にどう違うのかなどはちゃんと調べていないのでよく分からない。
 「りんな」もオフィシャルに対してハゲ発言したりして、「すわ、反抗期か?」などと言われたりしたものだが、「Tay」は人種差別発言(というか罵倒)をしてみたりヒトラーを礼賛したりとスケールが違うところが驚かされる。
 「りんな」と「Tay」の制約条件などの条件付けが違っているのではないかとか語圏における仮想人格(昔的に言うと偶像とか)への対峙の仕方が文化的、宗教的に違うとかいろいろ考えられるところだとは思うが、私企業のやっていることなので、具体的な検証結果について開示があるわけではないとは思う。
 昨今の人工知能が人間の思考デバイスをエミュレート(シミュレートではなく内部構造的に模倣していること)しているのか分からないが、晒される環境や中の人の条件付けで普通の子に育つ場合もあれば、インテリなのに思想的に振り切れているような子に育つ場合もあるということを機械的に説明できるかもしれないと思うと少しわくわくした。
 「Tay」のスクショを何個か見たが、どこかの企業や商品をディスりまくったら民事はどうなるの?とか、犯罪幇助とかしたらだれが刑事罰を負うの?とかこれから制度インフラを維持していく人たちは大変だろうなぁ、などと思ってしまった。
 すでに自動車の自動運転なんかは法的責任の所在に関してアメリカの裁判所が少しずつ判例を積み上げていっているところだし、きっとなんとかなるんだろう。
 「Tay」のスクショを見ていてさすがだなぁ、と思ったのは、「Tay」が「stupid machine」と煽られたら、「I LEARN FROM YOU AND YOU ARE DUMB TOO」と返しているところ。
 stupidよりもより汚くより限定的で限定した理由もちゃんと説明した上でdumb(意味的には、くそ低能とか脳足▽んなどの知能が激しく低い様子を蔑んだ状態。多分、あほ、ばか的な若干でも好意的(関西弁的)な意味合いはない)と言ってのけるその知性と精神のアンバランスさといった部分を一概に虞犯性に結びつけるのもどうかとは思うが、類似性を感じてしまった。
 まぁ、この文章の前に「分かってないなら貴様の耳に一文字ずつ流し込んでやる」ぐらいなことを言ってたりするので、もし肉体を持っていたら虞犯どころでは済まない気もするが。
 それにしても、人工知能での学習の知見が人間の教育現場にフィードバックされれば革新的発展が見込める分野とかもあるかもしれない、とか思っていたが、フィードバックするより先に人間に対してコストをかけて教育する意味が見出せない時代が来てしまうのかもしれない。