昨日のWBS

 アメリカの今後の政策についてコメンテータのフェルドマン氏がレーガノミクスの失敗について触れていた。
 多分、こういった大衆向けに近いニュース番組で言及するということは、多分、関連する業界関係者界隈ではもはや語り尽くされているのだと思う。(そもそも去年私が触れたぐらいだし)
 で、思うのは、はたして過去のしろうと目にさえ分かりやすい事例があるにもかかわらず、それをトランプ氏が率先して繰り返そうと思うのかどうか、というところかなぁ、と。
 少なくとも当時現役の経営者であったことから考えればレーガノミクスの功罪について体感も含めて理解していそうな気がするのだが。
 まぁ、大統領といえど純粋な独裁者ではないので、執行に関して必ずしも政治的に時宜を得て確実に遂行できるかどうかはわからないわけだし、レーガノミクスの失敗自体、ブレーキをかけようにもすぐにブレーキをかけられない、すぐに止まらないという経済コントロールの難しさという側面もありはしたのだが。
 あと、以前にも書いたが、経営者が「不透明」を連呼するのは、もはやステークホルダに対して将来失敗したときの言い逃れと逃げ道を先に確保しようとするいわゆるセルフハンディキャッピングに近いように感じ始めた。
 すでに投資家のレベルで考えれば、トランプ氏の就任前会見で真新しい内容がなかったからというような理由で株価や為替レートが動いていることを考えると、既にそういった「不透明」と表現している部分は織り込んでしまっているように感じる。
 いや、まぁ、単に感情的な意味で、最近、言っておけば許されるという使われ方をしているようであまりにもうっとうしいので。
 「不透明」って連呼が。
 もう、いっそガバナンスコードにセルフハンディキャッピングを入れてくれないかな、とか。

 あと、フェルドマン氏が『貿易は二ヶ国間の収支で勝ち負けがわかる』とトランプ氏が考えているということを指摘していたのだが、確かにそうだとは思うし、フェルドマン氏がその考え方は間違っているのではないか、と指摘するのにも賛成である。
 ただ、それは実体経済を分析的に把握した際の経済構造がそうだというだけであって、アメリカ国民1個人の通常の生活や感覚から導きだされる大枠の経済感は、二ヶ国間の収支なのではないかと思う。
 買いかぶりだったら笑い話にもならないが、トランプ氏はそういった違いが分かった上でしゃべっているように感じた。
 有り体に言えば、国民への人気取りということとして処理できることではあるし、大衆迎合主義だと蔑んでもいいのだろうが、過去の日米貿易摩擦の時のような双方が政治的に解決しようとも国民感情として錯綜が発生すればそれを強制的に排除するのは非常に困難であるということを学習したはずだと私は思うし、営利企業としての正しさを強弁することが必ずしも政治的な正しさではないことを認知しなければならないようには思う。
 また、そういった経緯があるからこそ、会見で名指しされた他の2国の会見への反応が「2国間の利益になるようにやろうよ」というのではなく再び官房長官から「企業市民」ということばが発せられたのだと思う。
 で、私自身は、トランプ氏が分かった上でやっているという仮定のうえで、トヨタなどの大企業に関連する企業群(WBSのニュース内でも事例として挙げられていたが)がトヨタが道をつけたのであとは数珠繋ぎでスルーパスで通っちゃうよ、という考え方を持っていたならば、さすがにそれらの中小企業に個別に云々できるわけもないので、逆にトヨタのような親分に対しての風当たりを強くすることで国民感情を紛らわそうとする選択肢を取られかねないように思う。
 そこまで気にする事項、時期ではないのかもしれないが、大企業は政治的にいろいろ大変だろうけど中小のうちはそんなのは関係ないし、それよりも親分が大変になることだけが商売上重要、といっていては、大企業が傷口を縫い合わせようとしているところに雑菌をなすりつけている行為となるかもしれない。
 官房長官のいう「企業市民」たらなければならないということは、もはや先に批判を浴びたトヨタだけの問題ではないと考えた方がいいのかもしれないと思った。
 とはいえ、トランプ氏がそのギャップを知っていてどちらか寄りの政策を打ち出したとしても、それをもう一方に振ろうとした時には政治的に転換不可能な状態になっているなんて状況もアメリカの場合は多い気がするのだが、まぁ、それは成り行きなのだろうけど。



 あんまり書きたくはない、というか国内の問題としてはこれまで言及するのを避けてきたんだが、もう個としての認知という意味で「NOT YOU!」と公的に発言できるような規制緩和(実質的ではなく法的な意味での双方の自由)があっていいんじゃないのか?という気がしてきた。(意図して主語を抜いてみた)
 これもまぁないんだろうけど。