余野川橋の続き

 しばらく更新をすっ飛ばしていたので、時事的なものは遅れてしまっていましたが、少しずつ追いかけてみたいと思います。
 とはいえ、そもそも情報収集力も格段に弱いのでネタもないのですが。

 で、以前触れた余野川橋のベント事故に関してさっさと工事を進めた関係上、すぐに原因が判明するような通常の事故処理として完了したのかと思っていたら、「「新名神高速道路 余野川橋ベント転倒事故に関する技術検討委員会」の設置について (6/10 NEXCO西日本ニュースリリース)」と技術検討委員会が設置されていました。
 傍から見ていると、土木工事の事故などどれも同じに見えて、「よくあること」という形で脳内処理してしまいそうですが、現場の立場からすると、当然のことながら「よくあること」が1回でも起こらないための策を施すべく計画・設計し作業に当たっているわけで、そういう中でさえ起こってしまう事故というのは技術的な意味で原因が簡単に判明しない、もしくは同じような事故でも同じ原因ではないことも多いように感じます。
 昨今のデータ偽装や計画、設計、施工計画レベルの技術者としてのレベルを疑うようなミスや錯誤などが取り沙汰されるのを見るにつけ、昔からこういった話題に対してすべてがそういったことに起因しているわけではないよ、と経験者の立場から言ってはいましたが、なんとなくその発言に自信をなくしつつある気はしています。
 逆に何らかの事故が発生するたびに、常識的な範疇で痴れ者呼ばわりされるような事案でないことを祈っているというのもなんというか変な気分ではあります。
 幸い今回の事故では負傷者はいなかったらしいので、マスコミからの情報はあまりないかもしれないですが、何らかの事故に対して常に同じ原因での事故が起こらないように「努力する」的なメンタルなものではなく、技術的な手段を適切に講じることができるようになること、およびそれらの知見が他の同様な工事で生かせるように体系化し広く啓蒙されていることをもっと知らしめて欲しいとは思うのですが、最近は、同様にそれさえ大丈夫なんだろうか、と心配になる有様なのは悲しむべきか世の趨勢か自分が知らないだけで昔からそうだったのか困惑しきりです。
 今回の技術検討委員会の内容がニュースリリースで具体的に掲載されることはないとは思いますが、今後の工事の安全のために生かしてもらえることを願ってやみません。