多分、比較になってない

 先日、キリンの白缶コーヒーの話を書いたので、その先の話。
 昨日の時点でTVCFもやってるし、その内容もいろいろとありがち過ぎてひやひやするレベルだったりしたわけだが。
 うーん、映画試写会の感想を他段で流すような手法と同じというのは個人的にしらけてしまうのだが、確実に購買層の主流ではない者がいくら吼えたところであまり意味はない。
 単に過剰な期待をし過ぎていたことからくる相対的マイナス要因が目に付いているだけとも言える。

 先に断っておくが、コーヒーはそれなりに好きだが味が判る人間ではないと自信をもって断言できるレベルなので、以降の話はあまり気にすることではなかろうと思う。
 なんだな、こうやって書いていること自体、過去をままごと化したようなものなので、それこそ生産性も意味もない。

 で、とりあえず、キリンの白缶コーヒーを購入するにあたって比較として先月末にセブンイレブン系列で限定発売された旧JT(今はサントリー)のルーツアロマブラックとセットで飲んでみようと考えていた。
 何というか、意図的にぶつけてきている(真っ向勝負ではないのだが)気がしたので。
 が、何軒かコンビニをまわったもののブラックが売ってない。
 最近こういうのばっかりだったりする(ちなみにルヴァンも未だに現物を見ていないレベル)が、ちゃんとやる必要もないといえばないかもなので、めんどいってことでエクストリームブレンドにした。
 多分、挽きたて微糖の方がよりよかったとは思うが、最後に寄ったコンビニがエクストリームブレンドしか置いていなかったので、もういいやってことで。

 とりあえず香り。
 エクストリームブレンドはさすがにミルク成分が多いためか、際立ってどこがどうすごいというのが感じられるところではない。
 個人的に今まで「これは何か違うぞ?」と惹かれたのは、UCCのミルクコーヒーといったくくりのコーヒー飲料から飲みきりサイズのブラックコーヒーなどに移行したときの「コーヒー味」がする飲料から「コーヒー」の何か(苦味や酸味や香りなど)を感じさせる飲料にシフトしたあたりと、ルーツアロマブラック周辺の当時の店舗系コーヒーでは出さないような味や香りを出そうとしたあたりだろうかと思う。
 人によって感じ方は違うとは思うのだが、後者に関しては、個人的に店舗系のその場で飲むことを想定したものと、仕事をしながらとか勉強をしながらとかTVを見ながらとかのながら飲みを想定した場合の味や香りの変化を考えた結果による調整であるような気がしていた。
 要は短時間にがぶ飲みするものではなく、それゆえひと口ごとにがっつりくるわりに、封を切ってしばらく放置してもあまり味が変化したように感じない(個人的に香りが飛んで酸味が増すと味が変わったと認識することが多い。)ようになっているように思えたものである。
 しかしながら、多分こういった手法はやりすぎればうそ臭くなってしまうだろうし、特にひと口目が最もきつく感じてしまうかもしれないことを想像すれば、店舗系やカウンターコーヒーに流れてしまう可能性もあったのではないかと思う。
 で、その代表格であったルーツアロマブラックは、もう既にJT時代の味を忘れてしまっているのだが、サントリーに移行した現在でも脳内の一般化されてしまった断片的なイメージをつなぎ合わせたものとさほど変わらない強い存在感のある香りがする。
 これは、缶の開口部の大きさによるところも大きい(ルーツアロマブラックは大口径キャップのボトルタイプでエクストリームブレンドは非分離型タブの開口部が広くない通常タイプ)ような気もするが、ちゃんと統一するために一端グラスに注ぐとか臭気測定器を使うとかはめんどうなのでやらないことにする。
 ただ、交互に飲み比べていると、エクストリームブレンドの香りはほとんど変化がないのに、ルーツアロマブラックの香りはエクストリームブレンドの香りに流される形で失われ、いわゆるコーヒーの香りが飛んで酸味が出てきた味に近づくところからするに、思った以上にエクストリームブレンドの香りはきついのかもしれない。

 味。
 味は、ねえ。。。
 先述のとおりブレンドとブラックでは比較しようもないわけだが。
 これもエクストリームブレンド単体としてどこがどうという感じがしない。
 まぁ、貧乏舌なのでどうしようもないのだが。
 個人的に気になったのは、これも事前に味がすっきりしているという話を聞いていたこともあるのだが、後味に若干の粘り気があることだろうか。
 それが牛乳由来であるのか、それとも砂糖なのかデキストリンなのか分からないが、もっとすっきりしていてもよかったのではないかとも感じた。
 ミルク感とその余韻を楽しむのであれば、カフェラテがあるわけだし。(てか、HPに載ってはいても売ってないけど。)
 多分、ブラックならば違ったのかも知れないが、ルーツアロマブラックのひと口ごとに眼の高さから上方向に抜けていくような「コーヒー飲んだわ」的な実感は得られない。
 何というか、エクストリームブレンドは違いの分かる玄人向けなのかも知れない。
 あと、今回の目玉は『焦がし焼き豆』ということのようなのだが、エクストリームブレンドはその配合が15%、ブラックは10%である。
 どうせなら、6、7割ぐらいのこの味と香りは出せないでしょ的なものであればすごかったのかもしれないが、定番商品の置き換えであるため、そういった冒険はできなかったのかもしれない。
 およそ私のようなにわかしろうとが深煎りにしてもらった豆で淹れても、雑味が出すぎてろくな味にならないことからすると、コーヒー量産のプロの作ったがっつりくるのを缶コーヒーとして飲んでみたい気はする。

 全体的な話。
 かなり前からキリンビバに対して経済紙などであまりいい書き方をされていない気はする。
 欠点をあげつらう記事などでは10年ほどまえからキリン本体にほとんど貢献しない(どちらかといえば赤字体質寄り)という放蕩息子ではないが今風にいえば真面目系クズのような扱いをグループ内でうけているかのごとく書かれているように感じる。
 実際、飲食業の視点から捉えれば、ビール系の酒販にプラス洋酒系酒販、ソフトドリンク系のセットでの営業、購買という形を考えれば、酒販系と密接に連携し、利益率の高い酒販系のサブ的な位置付け(ともすればバーター)でもかまいはしないのかもしれない。
 ただ、今では量販が見込める領域では完全に分離して取引するようになってしまっている感もあるため、最近の実態はつかみかねるが。
 結局のところ、本体からすれば、独り立ちさせることが目的ではなく、本体に貢献する孝行息子にしたてることが第一義であるがゆえに、キリンビバにはこれまで(現社長より前まで)本体で輝かしい業績をあげた者がトップに就いていたようである。
 しかしながら、ある意味別格だった「別格」などに見られるように、がんばりは評価できるが思った以上に成功していないというのが、真面目系クズたるゆえんなのかもしれない。
 個人的に、キリンのソフトドリンクといえば、定番のキリンレモン、キリンオレンジ(既に存在しないが)、他社にない特徴的なポストウォーターNUDAあたりで止まってしまっている。(NUDAはすでにTVCFを見た時点で誰に売りたいの?という違和感はすでにあったが。)
 それ以降は、そもそも戦略的な意味で新商品を出さなくなったこともあるが、マイナスな意味での「何か違う」という感覚でしか捉えられなくなってしまった。
 今思えば、もう昔のキリンビバではないと強く感じたのは世界のKitchenからなのだが、Wikiで年代を確認していると、皮肉にもキリンHDの事業子会社化された時期と一致していた。
 前社長下でのメッツと生茶のリニューアルがセールス的に成功している(少なくとも販売数量は増えたし部門としての営業利益も黒字化したが双方の因果関係はちゃんと見ていないのでわからない。そもそも歴代社長は販売数量は追わないと言ってはいたのだが。)ことを考えれば、時期的に見て今回のコーヒーに関しても前社長の時代からのものであろうし、同様に成功するのであろう。
 ただ、生茶は別にして、メッツに関しても今回のコーヒーのリニューアルにしてもあまり個人的な好みではない、というかキリンビバにしかできず、また他社もやらないことでありながら心に響くといったものでないのは、単に個人的な趣味嗜好のずれだといえる。
 逆に、常にずれていることを前提とすれば、今回の新商品は先のリニューアル同様成功することが自分の中で説明できたということになる気がする。



 その昔、業務用アイスコーヒー(多分、紙パックのやつ)で焙煎時の焦げ臭さはあるけどえぐ味もきついのがあった気がするのだが思い出せないし、検索しても出てこない。
 人気は出ないかもだが、そういうのもたまには飲みたい気がする。
 が、なかなかそういう特殊性癖用(?)の商品はどこも出さなくなっている気もする。