ありかなしか

 どんなんだろうと興味があったキリン零ICHI。
 もう、このカテゴリを国内大手メーカーが通常販売し始めてからずっとビールに近づけることを言い続けているということは、逆に言うとまだまだビールに近づけてさえいないともいえるわけで。
 とはいいつつ、今回、一番搾り製法というある意味伝家の宝剣を振りかざしてしまう以上、ビールが安売りしてる!超ラッキーやんけ、とルンルン気分で買って帰って飲んでも怒りが湧かないレベルなんじゃないんだろうか、とか思ったので。
 実際、私が買った350ml缶が105円税別からすると、正常な判断を失いそうではあるが。
 で、飲んでみたんだが。
 うーん、数ヶ月ビールを飲んでいなくてもこれはないかなぁ、という飲みごこち。
 モルトスカッシュとかの黎明期あたりしか興味本位ということもあり、飲んでみたことがなかったのだが、あの頃に比べるとがんばっている気はするものの、だからどうなんだ、という気もしなくはない。
 そもそも国内で蒸留法などでアルコールを取り除く製造法がとれない以上、よく似たものとしてそれっぽい味のものを作り出すのは現実問題として無理だった、ともうそろそろあきらめた方がいいんじゃないのか、などと思ったりしたが、需要があるのか、キリン以外もマイナーチェンジしたりと、そこそこ力が入っている気もしなくはない。
 法規制の関係上、製法が異ならざるを得ないのはしょうがないとしても、バービカンをぼろくそに叩いていた当時の御仁は今のビールテイストノンアルコール飲料をどう評価しているか聞いてみたくはある。
 味の細かい部分。
 水っぽいのはいつものこと、かと。
 知人が言うには、ビールを多く飲んでその味が自身の基準になっている者は、アルコール度数が小さくなると水っぽく感じてしまうらしい。
 いやいや、それはアル中に近い人が物足りなさ過ぎて缶ビールを半分捨ててジンやウォッカをまぜるとかいうのと同じなんじゃ、とか思ったが、特に根拠のないただの仮説だということで。
 いずれにせよ、そういった部分をクリアするには、味、風味の強い混ぜ物をすれば調整できるのだろうが、そこはビールメーカーの意地なのかもしれない。
 あと、個人的にホップはアルコール分と相乗効果を得るために必要なものだと考えているので、アルコールが入ってない以上、ホップの青臭さや生臭さばっかりが鼻につくのはちょっとつらかったりする。
 こういったところは、国内ビールに限らず海外ビールでも嗜好の方向は同じなので単に私個人の趣味ということにはなると思う。
 私よりかなり上の人に、その昔「ホップの臭いが嫌ならビール飲む資格ないわ(笑)」と鼻で笑われたのを思い出す。
 多分、未だにビール愛好家の多くはそういった属性が多くを占めていることから選択された結果な気はする。
 最後に、といっては何だが、口の中に味が結構長時間残り続けるのはどうにかならんかな、と。
 私の味覚が相当腐っているのか、一緒に食ってた出汁巻きたまごが食べ合わせだったとか、よく分からないのだが。
 で、ネーミング。
 プレスリリースがされたとき、どうでもいいといえばどうでもいいかもしれないが、0なんか1なんかどっちやのん、とか思った。
 その名のとおり、アルコールが「0」で一番搾り製法なので「1」というだけなのだが、こういうところのセンスというものは、よく分からない。
 個人的には、何の情報もない状態で店頭に陳列されていたとして「0」も「1」も何がどうなのかわからないという状態で興味を持って手に取るのか?という気がしてならなかったのだが、まぁ、プロのやることなのでしろうとが口を出す話でもない。
 例えばサッポロ+とか増えてんじゃん!とか思うし、発泡酒だが贅沢ゼロとか「無」が贅沢ってどうなの、という気もするので、もうアルコールに限らずゼロ系は私のような古い人間の思考ベースで扱ってはダメなのかもしれない。
 個人的には、海外の買収子会社とかに研究員をぶっこんで開発し、蒸留法でアルコール分を含まず、それでいて国内のビールの味、風味に親和性の高い商品を輸入したらいいんじゃないんだろうか、とか思ったりするが、それはやっちゃダメなんだろうね。